「ストーリー派」か「演出派」か?漫画の作り手にみられる2つのタイプとは?
漫画や物語を作る人には2つのタイプがあります。物語を起承転結で上手くまとめたり、構成したりして物語を進めることが得意なタイプである「ストーリー派」。
キャラクターの演出や設定やアイデアを広げることが得意なタイプである「演出派」。あなたはどちらのタイプかを知っておくことで、自分に合った創作スタイルがわかります。

 

漫画家には大きく分けて2種類の創作タイプがあると言われています。

 

漫画を描く上で、自分がどちらのタイプに属するのかを把握することは重要です。

 

2種類の創作タイプ

 

2種類の創作タイプとは、縦軸タイプと横軸タイプです。

 

縦軸タイプとは、物語の流れや展開、構成などを重視するタイプです。

 

漫画の要素の中で、縦に連なる部分を作ることが好きだったり、得意だったりします。

 

横軸タイプとは、キャラクターの魅力や表現、演出などを重視するタイプです。

 

漫画の要素の中で、横に広がる部分を作ることが好きだったり、得意だったりします。

 

このように2種類のタイプに分けられると言われています。

 

縦軸タイプの人は、物語を面白くするために、どんな順番でドラマを起こしたり、どんなエピソードやネタを組み合わせたりして、読者に伝わるように話を作ることに楽しさを感じます。

 

物語をきちんとまとめて、ストーリーを完成させた時に「やった!」という気持ちになります。

 

一方、横軸タイプの人は、キャラクターを作ることに価値を感じます。

 

キャラクターに「こんな動きをさせたい」「この性格だったら面白い」「この表情や仕草だったら面白い」という演技をさせて、物語を演出することに楽しさを感じます。

 

また、コマ割りや小道具、カメラワークなどを工夫して、読者に伝える方法を考えたりすることも、横軸タイプである演出力の一つです。

 

演出力が漫画の面白さを決める

 

実は、漫画の読者が楽しいと感じる部分の多くは、このキャラクターの魅力や演出力という横軸の部分なのです。

 

漫画ではストーリーとキャラクターのどちらが大事かという議論がありますが、ストーリーがしっかりしていてもキャラクターが魅力的でなければ、その漫画は面白いと思われないことが多いです。

 

逆に、ストーリーが無理やりでもキャラクターが魅力的であれば、その漫画は面白いと思われることが多いです。

 

だから、漫画ではキャラクターが大事だと言われるのです。

 

演出力とは何か

 

では、演出力とは具体的に何でしょうか?

 

演出力とは、キャラクターの感情や動きなどを読者にわかりやすく伝える能力です。

 

例えば、「人が怒っている」という文章を絵で表現する場合を考えてみましょう。

 

文章では人が怒っているという意味は理解できますが、絵ではどんな人が怒っているのか、どんな風に怒っているのかというビジュアルが必要です。
絵で表現するときには、人の年齢や性別、外見などを決めたり、怒りを表す拳や炎、青筋などの表現方法を選んだりしなければなりません。

 

演出力とは、そのような表現方法を適切に選び、物語を効果的に描く能力です。

 

この演出力やセンスは人によって本当にさまざまです。

 

同じストーリーでも演出力で印象が変わる

 

そして、この演出力によって、同じストーリーでも全く違う漫画になります。

 

みなさんは桃太郎という有名な物語を知っていますよね。

 

ある漫画教室では、この誰もが知っていてストーリーが決まっているものを生徒に描かせてみました。

 

すると10人の生徒が10人とも全然違う桃太郎の漫画を描いたそうです。

 

それは、それぞれの生徒の演出力やセンスが違うからです。

 

同じシーンでもカットの大きさやキャラクターの表情などの演出の違いが、同じストーリーでも全く違う漫画にするのです。

 

必要とされるストーリーを作るスキル

 

漫画を描くときには、ストーリーを作る縦軸のスキルだけでなく、キャラクターや場面を演出する横軸のスキルも重要です。

 

どちらか一方だけでは、物語として魅力的な漫画にはなりません。

 

ストーリーを作るスキルとは、物語の筋や展開、テーマやメッセージを考える能力のことです。

 

これがなければ、物語に根幹となる部分が欠けてしまいますし、漫画家としての基礎力にも関わります。

 

実際、現代の漫画界では、このストーリーを作るスキルが最も求められているとも言えます。

 

なぜなら、多くの漫画家がこのスキルに欠けているからです。

 

最近では、原作と作画を別々にする漫画も増えています。

 

原作がストーリーの縦軸を担当し、作画がキャラクターや場面の演出を担当するという形です。

 

また、一見すると一人で全てをこなしているように見えるプロ漫画家でも、実は編集者がストーリーの縦軸に関してアドバイスや補助をしていることもよくあります。

 

つまり、漫画を描くスキルとは、ストーリーを作るスキルと演出するスキルの両方が必要であり、どちらも大切なスキルだということです。

 

練習の方法

 

では、ストーリーを作るスキルや演出するスキルはどうやって磨くことができるでしょうか?

 

おすすめの方法を紹介します。

 

1:ストーリー力を磨く練習

物語の縦軸であるストーリーを作るスキルを磨くためにおすすめなのは、映画や小説をたくさん見ることです。

 

さらに効果的なトレーニング法は、映画などを観た後に、そのあらすじを自分で要約してみることです。

 

これを続けることで、徐々に物語の構成や展開、起承転結などが理解できるようになります。

 

2:演出力を磨く練習

次に物語の横軸である演出するスキルを鍛える方法は何でしょうか?

 

映画の見せ方や演出が上手いシーンがあれば、それを自分で絵にしてみることです。

 

また漫画でも見せ方が上手いと感じるシーンがあったら、それを自分で模写してみることです。

 

そうすることで、自分の中に効果的な演出法やコツが身について、スキルが向上していきます。

 

地味な練習ですが、これによって演出するスキルも少しずつですが、高めていくことができます。

 

まとめ

 

漫画を描く人の2つのタイプを紹介しました。

 

よく漫画ではキャラクターが重要だと言われますが、ここでいうキャラクターとは、物語の横軸である演出する能力のことです。

 

一方ストーリーを作り出す縦のラインも重要です。

 

つまり縦と横の力のバランスが大事なんです。

 

一般的に言われる漫画ではキャラが重要だというのは、実はこういうことです。

 

キャラや演出が7、8割でストーリーが2、3割

 

このバランスでうまく調和がとれていることが、漫画ではキャラクターが重要だということです。

 

まずは自分のタイプを知ることから始めてみてください。

 

そうすれば自分が伸ばすべきポイントや、不足している部分を補ってくれるものが見えてくるかもしれませんね。